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neON "作品を介したコミュニケーション"

「若手デザイナーと企業を結ぶプラットフォーム」、neON(ネオン)はインテリアライフスタイル展(以下、IL展)で注目すべき企画のひとつ。商品化の決まっていないプロトタイプをデザイナー自らがプレゼンテーションし、レイアウトまで工夫を凝らしたブースでは、本人と直接対話ができるという、独特なエリアです。

若手が中心ですが、すでにプロとして活躍しているデザイナーばかり。ネオンという名に込められた"光り輝く"才能をさらに世へ広める場、というほうが近いかもしれません。実際にneONをきかっけに商品化へとつながったケースもあります。今回はそのなかから、2つの事例を紹介します。

 

design office A4

大学で同じコースを専攻していた、福井守、婦木佑太、菅野大門の3人が「東京デザイナーズウィーク(2005年)」をきっかけに結成したdesign office A4(以下、A4)。2006年シャチハタデザインコンペティションでは、掴んだ指先で力の入れ具合によって表情の違うスタンプになる「face stamp」を発表、見事グランプリを受賞しています。2007年のneONは卒業後、初となる大きなイベントへの参加で、「まず自分たちが楽しむことを考えていました」とメンバーのひとり、福井氏は言います。

 

"クスッ"と笑ってもらえるような、みなさんに共感してもらえるようなモノを展示したいと思いました。ちょうど梅雨の季節なので"憂鬱な雨を楽しむ"ことを目的としたデザイン『水たまりの鏡』『テルテル傘』『虹の出るおむつ』を展示しました。雨に濡れたかのようなグラフィックを施したTシャツを3人で着てブースに立っていると、来場者の方々から『外、そんなに雨降ってるの!?』と聞かれたり(笑)、自分たちがまず楽しみながら参加しようと考えていました」(A4・福井氏)

 

 

  DSC_0211.JPG 

*2007年neONでの展示

 

 

neONでは毎年、参加デザイナーから1組を選出し、翌年2月にドイツ・フランクフルトにて開催される国際消費材見本市ambiente(アンビエンテ)のデザイナーズエリア「talents(タレンツ)」に招待出展できることになっています。A4もまさにこの年の出展が評価され、talentsに参加したことが次のチャンスを生んだのです。

しかし、2008年にアンビエンテで発表したのは、neONでは展示しなかった「tumi-ishi」という、自然の石をそのままかたどったようにゴツゴツした積木の玩具でした。

 

「最初は、neONのようにコンセプトを決めていくつかのデザインを展示しようと考えていましたが、1つでいくことに決めました。感覚的な玩具なら、言葉の壁も関係ないということと、僕たち自身、遊んでみて本当におもしろいものだと確信があったからです。

展示は予想以上に盛況で、多くの方々が足を止め、腰を下ろして遊んでくださいました。その中で、数社からビジネスの話がありました。手に触れて遊びながら『うちで商品化したい』とすぐに話しかけてくださる姿が印象的で、日本にはない反応の早さに驚きました。

焦って会期中に契約を交わすのは避け、日本へ戻ってから、契約条件がひととおり揃ったところで、カナダのUmbra社と契約を交わすことに決めました。その後の商品化への動きに関しては、スピーディーのひと言です」(A4・福井氏)

 

 

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*「PILE ON GAME」商品化へ向けた若干のデザイン調整を経て、完成

 

tumi-ishi」から「PILE ON GAME」に名称を変更、今年中には店頭に並ぶ予定とのこと。すでに国内の展示会でも披露されているので、ご覧になった方もいることでしょう。多面体にカットされた木を積み上げるという、一見単純な玩具ですが、重さや形を手で感じながら遊んでいると、おだやかな気持ちになるから不思議です。

 

 

山田佳一朗

2004年にKAICHI DESIGNを設立、ミラノ・サローネのサテリテ*1出展の経験もあるデザイナー、山田佳一朗氏がneONに参加したのは2008年。「前年に偶然、知り合いのデザイナーがneONに出展しているのを見て、『こういう展示、してみたいな』とつぶやいたのがきっかけです(笑)。出展が正式に決まったのは4月半ばでしたから、スケジュールはぎりぎり。特にプロトタイプ制作が大変でした」と振り返る山田氏。

 

「靴べら、というアイデアはありました。しかし形は決まっていませんでしたので、出張先でも夜中までスケッチしたり、紙で簡単な模型をつくってはデザインを修正したり、と試行錯誤を繰り返しました。形が決まってからも、成形合板とFRPの2種類で制作したいと考えていましたが制作を発注していては展示までに間に合わないことが明らかでしたので、自分でプロトタイプを制作することにしたんです。作業場に籠りっきりになって、何日も粉まみれになりながら」(山田氏)

 

時間に追われる中での努力が結実し、完成したのが「PERCH shoehorn」。展示には、手作業とは思えない美しい曲線を描く靴べらが展示されていました。

 

 

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*「PERCH shoehorn」2008年neONでの展示

 

来場者の反応は良く、特に印象深かったのは、利用者としての意見だったと言います。

 

「プロっぽくない感想のような言葉をかけてもらうのが、僕自身はとても楽しいと感じました。つくる側からすれば『好き勝手な意見』に思いがちですが、それを全部うなずきながら聞いていました。でもその姿を見て、意見を取り入れるデザイナーだと感じて、声をかけてくれるメーカーの方もいらっしゃいました」(山田氏)

 

完成度の高いデザインは当然のことながら、メーカーからも引く手数多。会期中には決めずに後から時間をかけて話し合い、一度はフィンランドのメーカーと契約を結ぶところまで進んだそうですが、最終的にアッシュコンセプトから商品化することに。

 

6月にneONで発表して、同じ年の秋にデザイナーズウィークではもう新製品として発表されたので、本当に驚きました!ネーミングは『KOTORI』へ変わり、頑丈な成形合板製でつくることができ、お披露目となる展示もすばらしいインスタレーションをしていただいて光栄です。名児耶さん(アッシュコンセプト代表取締役)はいつも何事も早くて凄い人だなと思わされます」(山田氏)

 

 

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*「KOTORI」チーク柄とホワイトアッシュ柄の2種類

 

伝統的な日本家屋の玄関先にも似合う姿の靴べらです。(山田氏のご自宅で撮影させていただきました)

KOTORI」という名のように、枝に留まった小鳥を連想させる佇まいが詩的ですらあります。

 

neONをステップに世に出た商品に、共通項があるというのではありません。もちろん優れたデザインであることは大前提ですが、ただ、A4の福井氏と山田氏どちらも「neONはコミュニケーションの場」、だと語っています。デザインを介して出会いがあり、刺激と助言を受ける場。その機会を楽しみながら新作を世に問う、それが若きデザイナーにとってのneONという空間なのです。

 

【データ】

design office A4(デザインオフィス エーヨン)

www.designofficea4.com

PILE ON GAME」

生産発売会社:Umbra

日本代理店:アントレックス アンブラジャパン

価格:6,000円(9個セット)

 

山田佳一朗(やまだかいちろう)

www.kaichidesign.com

KOTORI」

生産発売会社:アッシュコンセプト

http://www.h-concept.jp/html/index2.html

価格:5,250円

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