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ミラノ・サローネ フィエラ会場のブースデザイン

昨年のブログでもレポートした世界最大規模の家具見本市、通称「ミラノ・サローネ」へ、今年も行ってきました。

近年は日本企業やデザイナーの出展が増え、国内でも話題にのぼることが多くなったので、すでにいろいろな記事を読んだ方もいらっしゃることでしょう。フィエラ(=ミラノ郊外にある展示会場)及びミラノ市内のショールームや各特設会場、500ヵ所余りで行われる展示は、1週間という期間では見尽くせないほどのボリュームがあり、その中で来場者を集めるために大手メーカーも気合いの入ったブースデザインを打ち出しているのが印象的です。

 

2005年3月に完成した見本市会場フィエラは、マッシミリアーノ・フクサス設計。約200ヘクタールの敷地に、展示総面積は約530,000㎡、東西に延びる1.3kmの幅広い通路に沿って左右に8つのパビリオンが並んでいます。そのパビリオンをさらに細分化し、24までの会場番号が振り当てられており、コンテンポラリー・デザインに絞るならば8つの会場と、隔年で開催される照明の「ユーロ・ルーチェ」4会場を見て歩くことになります。

今年は、イタリアのポルトローナフラウ・グループが市内での展示に集約しフィエラには出展しないという事態や、世界的経済不況のために新製品の発表は少なく、全体の盛り上がりもいまひとつだったという声も聞かれますが、力のあるメーカーはやはり凝った展示を行っていました。

 

MOROSO http://www.moroso.it/

MOROSO(モローゾ)は1952年イタリアのウディネに生まれた家具メーカー。市内のショールームでは、これまでのコレクションをアフリカの職人技によって再構築したインスタレーション「M'AFEIQUE」(デザインはステファン・バークス)を、また、アパレルブランドのディーゼルとコラボレートした「Successful Living」を発表していましたが、フィエラではさらに異なる展示を展開。MOROSO製品も数多く手がけるデザイナー、パトリシア・ウルキオラとマルティノ・ベルギンツが手がけた会場デザインは、白い柱が林立する空間でした。

イメージは、ジオメトリック・マングローブの森。パーティションを使わずにエリアを区切り、各デザイナーの作品を自然にブレンドするような、空気感のある展示スペースを実現していました。来場者は、アルミを曲げてつくった白い管の間をすり抜けながら、作品を見て歩くことになります。完全に仕切られた場ではないにもかかわらず、新作は互いにほどよい距離感とバランスで配置され、360°からしっかりと作品を眺めることができる展示は、ブースの滞在時間を長くするようです。

 

 

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*通路側から見たMOROSOブース。ジオメトリック・マングローブ、を表現するのは、管状の白いアルミチューブ

 

 

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MOROSOのブース内部

 

 

Kartell http://www.kartell.it/

1949年の創業から2009年までの60年間を振り返ったインスタレーションを行ったのは、Kartell(カールテル)。ご存知、樹脂の家具を得意とするイタリアのメーカーですが、これまでの代表的な作品を取り上げ「what a wonderful world !」と題した展示は、アーティスティックな感性で彩られた世界でした。

カラーバリエーションが豊富で、透明感に特徴のあるKartellらしく、さらに色彩に満ちたエネルギッシュな写真とのコラージュが、それぞれの作品の新たな一面を照らし出します。コケティッシュでユーモアのあるパネルが、実は作品よりずいぶん大きいのですが、まさに最適な舞台装置だと感じたブースでした。

 

 

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*通路側から見たKartellブース

 

 

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Kartellのブース内部。黒いパネルの裏側には、作品を取り込むように写真を用いたコラージュが出現

 

 

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*吉岡徳仁氏デザインの「AMI AMI」と「AMI AMI TABLE」には人魚が!

 

 

MAGIS http://www.magisdesign.com/

MAGIS(マジス)は、東京ショールームオープン時の予告通り、昨年よりもブース面積を2倍近くまで拡大。ステファノ・ジョヴァンノーニによる会場デザインは、デザイナーごとにストーリー性をもたせ、人形の家のようにそれぞれの部屋を与えたようなレイアウトが楽しいものでした。足を踏み入れるとまるで自分が操り人形になって、どこかの部屋に入り込んでしまえるようで、ワクワクさせられます。

展示は下段と上段に、壁面をぐるりと取り囲む要領でめぐらされていますが、さすがにブースが広い分、圧迫感はありません。下段には新作、上段にはコレクションが配置され、照明や壁紙なども作品に合ったデザインでセレクトされています。MAGISの家具で揃えるならこんな部屋で、という提案型のディスプレイがスマートに実現されていました。

 

 

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*通路側から見たMAGISブース

 

 

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MAGISのブース内部。ブース全体を四角く囲む、ランダムに仕切られた、部屋の断面のようなディスプレイ

 

 

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*たとえば、コンスタンチン・グルチッチの「Chair One」シリーズはカスティリオーニの照明と合わせたレイアウト

 

 

インスタレーション中心の展示や、イメージを全面に押し出すブースについては、新作を開発する力が足りていないからだという厳しい意見も耳にしますが、ミラノ・サローネという世界規模の展示会では、ブランドイメージの強化が重要課題のひとつ。わずか1週間足らずの短期間であっても、こうした印象に強く残る会場ブースデザインをおこなうことも、デザインフィロソフィの主張だといえるでしょう。

 

 

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