ミラノ デザインセレクトショップ
2009年5月11日 | 投稿者: 高橋 美礼
ミラノ・サローネ開催期間中、ミラノは店舗やショールームをはじめ特設会場が乱立してデザインの展示を行い、まさに"デザインの街"といえるほど、プロダクトを中心に世界中の新しいデザインが揃う場になります。ただ、実際に日常生活に取り入れたいデザイン商品を買おうとすると、期待よりもお店が少ないものでした。今までは。それが今年、ミラノ・サローネに合わせて3軒もデザインセレクトショップがオープンしたのには驚かされました。セレクトショップ&ギャラリーとして定番の3カ所に加えて、現在おすすめしたいデザインセレクトショップは、次の6店舗です。
10 corso
「ディエチ・コルソ・コモ」は、東京にもコム・デ・ギャルソンとコラボレートしたショップがあるので、日本でもお馴染みでしょう。1990年、元『ヴォーグ』イタリアの編集長カルラ・ソッツァーニがコルソ・コモ通り10番地にオープンした、ファッション中心のセレクトショップです。いわゆるハイ・クラスなブランドが並ぶだけでなく、インテリア小物やアートブック、CDも独自の視点で選び抜かれたものが揃っている、ミラノのセレクトショップとしては先駆けの存在。'98年にはレストランを、'03年には3部屋だけのプチホテルを併設しています。オリジナル商品も多く、"スタイルを買い求める"という顧客は海外からも訪れるようです。
*「10 corso como」エントランス。コルソ・コモ通り10蕃地にあることから名付けられた店名
*中庭まで広くつながるレストラン
*店内には、世界中のアパレルブランドから選び抜かれた最先端のファッションが並びます
*2階には、ブックショップとCDコーナーが。そして広いギャラリーでは常にデザインやアートの展覧会を開催しています
Dovetusai http://www.dovetusai.it/
「ドヴェトゥサイ」はイタリア語で、「きみが知っている場所」という意味。「全く知らない店に行くのではなくて、よく知っている場所に来るつもりでやってきてほしい」という想いが込められているそうです。ミラノの中心からは少し離れた庶民的な界隈に位置し、オーナーは、デザイナーでアーティストでもあるファビオ・コッキとルイージ・ロッタの2人。1992年にこの場所でオープンしてから数年後、「dovetusai studio」というブランドも立ち上げ、彼らのオリジナル商品も展開するようになりました。店内はすっきりとしたレイアウトで、世界中から厳選したインテリア小物が頻繁に入れ替えられます。比較的、手頃な価格の商品が多く、気軽に使えるアイテムが揃うのが特徴かもしれません。私も、彼らがデザインした石型の花器「stone」を購入してしまいました!
*「Dovetusai」エントランス。ひっそりとした店構えは、まさに「知っている場所」にやってきたぞ、という気持ちになります
*店内ディスプレイも彼らの手によるもの。壁の古いパイプ跡(?)もアートのよう
SPAZIO ROSSANA ORLANDI
http://www.rossanaorlandi.com/
「スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ」は2002年オープン。古い屋敷を改築した店内はいくつもの部屋に分かれていて、サローネ期間中は同時に10ほどの展示が行われる場所になります。元アルマーニのニット部門でコンサルティングに携わっていたロッサーナ・オルランディが、オーナー。他のセレクトショップと異なるのは、アーティスティックなデザインに重点が置かれているところでしょう。ピート・ヘイン・イークやフロント、ハイメ・アヨン、スタジオ・ジョブなど、現在のプロダクトデザイン界で若手ホープといわれる彼らの製品を、イタリアでいち早く紹介したのがここでした。まるで迷路のような建物の中を歩き回り、作品を見てたどり着くショップにも、アートピースのようなデザインが詰まっています。そしてショップの逆側の建物には、パオラ・ナボーネが内装を手がけたレストランも。残念ながら、そのレストランは私もまだ未体験なのです。慌ただしい時期を避けて、ぜひ行ってみなくては!
*「SPAZIO ROSSANA ORLANDI」エントランス。「最後の晩餐」で有名なマッジョーレ教会がある通りから1本入った、概観からは分かりづらいような建物
*中庭にも所狭しと実験的なデザインが並び、晴れた日にはバールもオープン
*今年のミラノ・サローネで発表された、バカラとハイメ・アヨンの新作の展示風景。建物内にはいくつもの小部屋が、貸しギャラリーとして使われています
*3階部分にあるショップ。壁面のボックスを使った在庫管理などもオリジナリティにあふれています
The Basemente (Max Mara)
http://www.maxmarafashiongroup.com/en/milano
ミラノ市内中央に広がる古いアーケード、ヴィットーリオ・エマヌエーレⅡ世通りには、有名ファッションブランドの店舗が軒を連ねています。そのひとつ、「マックス・マーラ」の地階部分が、今年の4月にデザインセレクトショップとしてオープン。ディレクターには、「スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ」のロッサーナ・オルランディと、セルジオ・カラトローニが選ばれました。入口は変わらず、階段を下りると広がる店内は、一部分に「マックス・マーラ」の服とデザインを絡めたディスプレイがある以外は、食器やステーショナリー、家具などインテリア製品が集められています。決して広いスペースではありませんが、デザイン・アカデミー・アイントホーフェンの学生による卒業制作も展示されるなど、"今"のデザインを伝える発信地としての意識ももったコンセプトを感じました。
*「The Basement」店内。旬なデザインをセレクトしています
*「±0」も扱われていました。ミラノ・サローネ期間中には「スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ」で展示も行っていたので、訴求効果も十分ありそうです
*パトリシア・ウルキオラがローゼンタールで発表した新作は、先行販売も
SKITSCH http://www.skitsch.it/home
「スキッチ」も市内中央、ブランド通りとして名高いモンテナポレオーネ通り近くに今年オープンしました。路面の立地と天井高を活かし、大型の家具が多くセレクトされています。主に若いデザイナーのオリジナルや、発表間もないデザインを見ることができました。トータルなセレクトというよりも、ピンポイントで印象的な製品が並んでいる印象には賛否両論のようですが、今後はネット販売も充実させる方向とのこと。日本からオーダーできる日も遠くない‥‥‥と期待したいショップです。
*「SKITSCH」エントランス。ウィンドウディスプレイにも、取り扱うデザイン製品がインスタレーションされています
*店内はゆったり。ソファやチェスト、ブックシェルフなど大型の家具も目立ちます
*壁面のモニターでは、デザイナーのインタビューや制作風景などを放映。製品の背景を知ることができるコーナーです
Design Supermarket (La Rinascente)
http://www.rinascente.it/webapp/
「デザイン・スーパーマーケット」とネーミングされ、デザイン百貨店となったのは、ミラノの代表的デパート「リナシェンテ」の地下。今まで食品やキッチン用品を取り扱っていたフロアを全面改装し、日常生活で使うデザイン製品を集めています。服飾、寝具、家具は専門フロアがあるため、ここでは食器、ステーショナリー、インテリア小物、旅行用品が中心のようです。スーパーマーケットと名乗るのは価格帯にも理由があるかもしれません。作家性の強いデザイナーの"作品"というよりも、買う人の好みに沿うように多様なセレクトを感じます。百貨店のデザイン性がアップした、といった捉え方をされている様子。本格オープンは今年の9月だそうですが、様々な面で時代に即したデザインを広く扱うこうした売り場は、長く続いてほしいものです。
*店内は統一什器に、カテゴリーとブランドごとに製品が陳列。整然とした雰囲気が漂っています
*旅行鞄の専門コーナーも新設。種類の豊富さには、百貨店らしさが残っています
*富田一彦がディレクターを務める「NUSSHA」ブランドは独立コーナーが。イタリア人にはオリエンタルを感じるデザインが人気
取り上げた6つのショップはそれぞれ異なる個性をもっています。まさにそれがセレクトショップの存在意義。1年のうちのほんの一時期だけ見られる最先端のプロダクトデザインと同程度に、常に発信し続けるショップの影響力も大きいのです。ミラノへ行く機会があるならばぜひ、これらの場所へ実際に足を運んでみてください。


